「傷だらけの男たち」
2007年 06月 28日アンドリュー・ラウ監督の描く繊細な男たちの世界が好きです!!いい男しか出てこないし。今回はトニー・レオン×金城武。
でも、どの作品も作品の中に入り込むまでに時間がかかります。状況を把握するのがとても難しいから。ラウ監督特有のプレイバックやデジャブのような映像から、自分で推測しながらその世界に入っていくので、今回も初めはやはりちんぷんかんぷんでした。香港の名前がまずわかりにくい。結局トニー・レオンの役名はなんだったの?本名だの仮の名前だの、最後に説明される事柄からますますわからなくなりました。なんだかとっても、おっしゃれーな映像から入っていくのですが、そこに登場するトニー・レオンの雰囲気がまずいつもと違う。めがね掛けててやけにすっきりしているのです。見ている間にめがねをかけたりはずしたりしているので、そのときに何かヒミツの要素があるのかと思いましたが、それはなかったのかな。しかし役がむずかしいので表情を一切変えず淡々とした冷たささえ感じる演技にはかなりひきつけられます。アルマーニのスーツ姿がすごく素敵。初めから刑事でボスといわれるからには捜査一課の課長クラスなのに、犯人を痛めつけたりするダークな部分を持っていて、そこは要チェックですね。刑事さんたちや金城くんの演じる探偵が事件を解決していく過程はさほど重たさはなくあっさりとしていますがこの二人の心に傷を持っていることが明かされると、涙は出ないまでもかなりこちらも心が痛くなります。彼は人愛するという感情を持っていないということがとても辛いです。金城くんが酔っ払っている(ほとんど?)姿とか珍しいものをみせてもらったというお得感とか、そんなものも感じられます。中でも短いシーンですが二人の卓球のシーンはお上手で驚きました。(拍手!!)「インファナル・アフェア」のような入り組んだ脚本ではありませんが、その雰囲気を壊さず上手く仕組まれた脚本は見事だと思います。ただいつものような銃で事件を深くしていくよりもアナログな手段で血しぶきが何度も飛び散りますので要注意。
もう一度観に行って内容を深く理解すると完璧なものになるような気がします。
★★★★★★★☆☆☆